災害時の「うわさ話」や「怪しい電話」に惑わされないために
はじめに
災害が起こると、私たちは不安な気持ちになり、さまざまな情報に耳を傾けがちになります。テレビや新聞だけでなく、近所の方からの話や、見慣れない電話での呼びかけなど、たくさんの情報が飛び交うことでしょう。しかし、その中には、事実ではない「うわさ話」や、不安な気持ちにつけこむ「怪しい電話」が混じっていることがあります。
ここでは、混乱した状況でも正しい情報を選び、ご自身や大切な方を守るための簡単な方法をお伝えします。
「うわさ話」に注意するポイント
近所の方や知人から聞く話は、一見信頼できるもののように思えます。しかし、災害時には、不安からくる勘違いや、間違った情報が広まりやすくなります。
このような「うわさ話」を聞いたときに、少し立ち止まって考えていただきたい点があります。
- 「誰が言っていたのか」がはっきりしない話 「誰かが言っていた」「隣の人が教えてくれた」など、情報源があいまいな話は、事実とは違う場合があります。
- 「すぐに」という言葉で行動を急かす話 「今すぐ〇〇に集まらないと大変なことになる」「今すぐ△△をしないと損をする」といった、急いで行動を求める話には注意が必要です。冷静に考える時間を与えないことで、誤った行動をさせようとする可能性があります。
- 「秘密の話」として広まる話 「他の人には言わないでほしいけれど」といった形で伝えられる話も、根拠がないことが多いです。信頼できる情報であれば、隠す必要はありません。
- 「〇〇が無料でもらえる」「△△すればお金がもらえる」といった話 災害に乗じて、金銭や物資の提供をちらつかせ、個人情報を聞き出そうとする場合があります。
「怪しい電話」に注意するポイント
災害が発生すると、被災者を支援するふりをして、お金や個人情報をだまし取ろうとする人も現れます。見慣れない番号からの電話や、災害に関わるような内容の電話には特に注意が必要です。
このような「怪しい電話」を見分けるためのポイントをいくつかご紹介します。
- 「個人情報」を聞き出そうとする電話 「住所や銀行の口座番号を教えてほしい」「家族構成を教えてほしい」など、個人情報を細かく聞き出そうとする電話は、大変危険です。自治体や公的な機関が、電話で突然そのような個人情報を尋ねることは、まずありません。
- 「お金」の話が出る電話 「義援金が必要だ」「手数料を払えば支援を受けられる」といった、お金を要求する電話には応じないでください。公的な支援制度は、所定の手続きを経て利用するものであり、電話でお金を要求されることはありません。
- 「すぐに決断を」迫る電話 「今すぐ返事をしないと間に合わない」「今日中に手続きが必要だ」など、考える時間を与えずに契約や振込を急がせる電話は、詐欺の可能性が高いです。
- 災害支援を装った電話 「ボランティアです」「役所の者ですが」と名乗り、家に上がり込もうとしたり、金銭を要求したりする場合があります。身分をはっきり確認できない相手には、安易に対応しないようにしましょう。
信頼できる情報源を確認する
不安な時こそ、信頼できる情報源から正しい情報を得ることが大切です。以下の情報源を優先するように心がけてください。
- 自治体(市役所・町役場)の広報や発表 地域の災害対策本部からの情報、広報誌、掲示板、防災無線など、自治体からの情報は最も信頼性が高いです。
- 公共放送や主要な新聞 NHKなどの公共放送や、全国紙・地方紙の報道は、情報が確認された上で伝えられています。
- 警察や社会福祉協議会 地域の安全に関わる情報や、被災者支援に関する正確な情報は、警察や社会福祉協議会から得ることができます。
- 地域の防災無線や避難所の情報板 身近な場所からの情報は、その地域の状況に特化したものであり、役立つことが多いです。
これらの情報源は、「誰が」「どのような根拠で」情報を出しているのかがはっきりしています。
惑わされないための具体的な行動
デマや怪しい情報に惑わされないために、次の行動を心がけましょう。
- すぐに信じないこと どんな情報も、すぐに信じ込まず、一度立ち止まって考える習慣を持ちましょう。
- 複数の情報源で確認すること 一つの情報だけを信じるのではなく、自治体の発表やテレビのニュースなど、複数の信頼できる情報源で同じ内容が伝えられているかを確認してください。
- すぐに他人へ共有しないこと 自分が受け取った情報を、真偽が不明なまま他の人に伝えると、誤った情報が広がってしまいます。
- 家族や信頼できる人に相談すること 「この話、本当かしら」「こんな電話がかかってきたけれど、どうしたらいいだろう」と感じたら、一人で抱え込まず、すぐに家族や地域の信頼できる人に相談してください。
- 怪しいと思ったら連絡しない、話を聞かないこと 少しでも不審に感じたら、すぐに電話を切ったり、相手にしないようにしましょう。
おわりに
災害時は、誰もが不安を感じ、冷静な判断が難しくなるものです。しかし、正しい情報の見極め方を知っていれば、不必要な心配を避け、ご自身やご家族を守ることができます。
落ち着いて、一歩立ち止まって考えることが大切です。身の安全を第一に、信頼できる情報に基づいて行動してください。